Digest 2019
1Q
インフルエンザと留年
年初に名古屋で展示を行うも、その途中で体調を崩す。論文提出の肝心なところでインフルエンザになる。
ろくに推敲もできず、出席停止期間終了日に提出し、留年。
かろうじて内定先は失わずに済んだものの、待ち受けている困難が見え透いてしまい、気分的に修了展どころの話ではなくなる。
いろんなものを失う
3月頭から休学としたため、2月末で寮が強制解約となる。新居の入居日まで20日残し、ホームレスとなった。
学部時代のバイトで貯めた預金も底をつき、2枚のクレジットカードの限度額と他人の厚/好意を頼りに3-4月を生き延びた。この間のことはあまりよく思い出せない。
得たもの
堕落。
しかしながら、人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対し鋼鉄のようにはいかず、人間は可憐であり脆弱であり、それゆえ愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。人は結局のところ、早世の処女の純潔や聖女を求め、武士道を編み出さずにはいられず、天皇を担ぎ出さずにはいられなくなるだろう。
だが他者からの借り物でなく、自分自身の純潔なるものを留め、自分自身の武士道ないしは天皇を編み出すためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのである。そして人が堕ちるが如く日本もまた堕ちることが必要であり、堕ちる道を堕ちきることにより、自分自身、日本自身を発見し救わなければならない。政治による救いなどは、上皮だけの愚にもつかないものなのだ。 『堕落論』坂口安吾
救いはあった。
友人の引越を手伝って思いつきで岐阜から横浜まで行ってみたりした。あの時に戴いたマーマレード入りのハヤシライスは失敗作だったらしいが、僕にはとても美味しいものに思えた。
3月末には論文もやや建て直し、体裁は整っていた。 居を東京に移し、伸びきった髪を切るともう4月だった。
2Q
下ろしたて
目黒川の桜を横目に、学部時代に買ったセットアップとブーツを引っ張り出して、入社式へ行った。
新社会人っぽい研修をいくつか受けたが、社外研修で他社の新卒が突然泣き出したり、下ろしたて三文スーツどもの浮かれた調子に微妙についていけなかったりした。 社内の研修は面白いもので、今まで覚えてきた謎のスキルたちを動員して、変なものをたくさん作った。
4月の所持金はマイナス5万円からのスタートだったので、毎日弁当を作って持って行った。もやしをレンジで茹でてたくさん食べた。
体重が50kgを下回った。
新潟に預けていたトライアンフを取りに行った。久々に味わう暴力的な加速と低いセパレートハンドルで雪解けの三国峠を東京へと急いだ。
得たもの
派手な名刺と、初任給。
初任給は残り半年分の学費のうちの1/5と、3-4月の生活費の引き落とし、東京の家賃ですべて消えた。
同じ時間をコンビニでバイトしたらもっと貰えるわけだが。
失ったもの
3Q
配属
部署に配属になった。
まだ職能は関係ないので、部署依存の仕事になるわけだが、当たり前といえば当たり前だがweb周りの仕事をたくさんした。
正直、webフロントエンドに限って言えば凡人レベルなので、あまり戦力になっている気がしない。
SPAは作れるけど静的サイトのやや古い技術をわざわざ覚え直す歯がゆさみたいなものを日々味わう。
何度か岐阜へ行き、論文を発表。卒業決定。学費も延滞はしたが、修了予定日までには振り込むことができた。
得たもの
学位記と静的フロントエンドのちょっとしたスキル。
学位記の方は特に役には立ってない。
失ったもの
体重
健康診断に引っかかった
4Q
仕事は本格化し、深夜割増がつく日も増えた。9案件を同時に回し、上司に怒られる。
でも、新卒レベルの単価で、裁量もなく、他部署よりも稼ぐには単純に稼働時間を増やすしかない。
得たもの
金への執着
稼ぐことで給与をあげられるのなら、いろいろ投げ打って稼ぐしか他ない。
失ったもの
刺激
凡庸な社会人として朝起きて仕事に行き、疲れ果てて家に帰ってくるだけの暮らしになりつつある。